コラム
2020/10/16豆知識
保険制度
柔道整復師が管理者を行う整骨院や接骨院では、
骨折・捻挫・打撲・挫傷の外傷と呼ばれるものに対して
施療を行う際、健康保険を利用することができます。
しかし、現場で働いている人間としても自分達の
範囲内でしか健康保険の制度を理解できていない上に、
特殊な助成や市町村の異なるものは、やはり戸惑います。
最近回答書と呼ばれる「なぜ、どうして整骨院に行ったのか」
を患者さん本人に問う書類が頻繁に届きます。
以前よりも頻度が多くなっているという事は
きちんと保険制度を理解して使っている人が少ないという事です。
僕たちの業界が積極的に患者さんに保険制度を
きちんと納得してもらえるまで説明するのが
一番いいのですが、どうしても小難しい話になってしまいます。
今一度保険証の適応範囲について理解を深める時ではないでしょうか?
交通事故の際の保険利用について少し書いていきたいと思います。
交通事故での怪我は、自動車保険を利用するのが一般的ですが、
健康保険が使えないというわけではありません。
自己負担額を1~3割に抑えられるほか、治療費の負担が
高額になってしまった場合でも高額療養費制度を
活用することができたりとメリットはたくさんあります。
ただ、交通事故の健康保険適用範囲は、通常とは違って
特別な手続きや注意点があります。
交通事故の際に、健康保険を使った方が良い理由
1)過失相殺の時に自己負担が減る
交通事故はいくら相手の方が悪くても、
自分が全く悪くない場合は少ないようです。
事故の過失割合が10:0ではない場合、
過失相殺という仕組みによって、少なからず被害者も負担を強いられることがあります。
その場合、健康保険を使わないとかえって
多くのお金を支払うことになってしまいます。
2)加害者の任意保険未加入
任意保険に未加入の場合、自賠責保険基準での
示談交渉となる上に、上限120万円と決まっています。
健康保険を使うことで、損害賠償請求で治療費や慰謝料以外にも
逸失利益や休業補償などが請求できる可能性が残ります。
3)高額医療費制度
交通事故の治療を受ける際に、被害者がそのまま立て替えて
後で一気に加害者に請求することがあります。
しかし、入院や通院が長引けば、それなりの額になってしまいます。
健康保険の仕組みで高額療養費制度というものがあり、
それを活用すれば自己負担額を軽減することができます。
1ヶ月にかかった医療費をベースに計算され、その際の上限額は
年齢や所得によって決められるので【健康保険高額療養費支給申請書】を
提出することで払い戻しが受けられるという制度です。
医療費の自己負担は世帯で合算できるので
領収書などはきちんとまとめて保管しておきましょう。
4)治療期間の不満
身体が万全になったと感じていなくても、期間がある程度過ぎると
治療終了という判断が下されます。
一度終えてしまうと、その後はいくら同じ痛みを訴えようが通院しようが
自費で治療を受けなければいけません。
しかし、健康保険を使って継続通院して加害者に請求する権利があります。
医師との相談の上、治療の必要性を主張することが肝心で
個人の判断で請求するのは少し難しいので覚えておきましょう。
交通事故の際に、健康保険を使えない理由
1)仕事中や通退勤の途中に怪我をした場合、健康保険を使用できません。
労災保険を使用します。
労災保険は任意保険と違って過失相殺はありませんし、
補償額に上限が設定されていません。
業務中の怪我はきちんと保証される仕組みになっているので安心ですね!
2)被害者でも過失が大きい場合
飲酒運転や無免許運転など過失が大きい場合は保証されない場合もあります。
次回は健康保険を使う際に気を付けなければいけないことを
つらつらとご紹介していきます。
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